お客様はありがたい

 「これ持っていきなよ」、そう言って缶コーヒーを差し出してくれたのが、お話しの最初でした。文男さんは中洲でタバコ屋さんやっている、84歳の優しいおじいちゃんです。おじいちゃんと呼ぶには失礼なくらい元気でした。白根町の生まれで、戦時中は満州に行っていて、その後日本に戻って来てからここ中洲に来たそうです。営業年数は長く、数十年も続けています。昔はこの通り沿いには商店が多かったそうですが、今では文男さんのお店しか残っていません。仕入れは問屋さんが持ってきてくれるから不自由していないそうですが、最近はお客さんが減ってきたから少し寂しいとか。「タバコを吸う人も減ってきてるよね」、そう言う文男さんも体のことを考えて数年前から止めています。「お客さんはみんな顔見知りだからね」、「お客様はありがたいよ」、そういう文男さんはとても楽しく商売をしているようでした。
 早川のいい所は?そう尋ねたところ、よく散歩に行くところがあると教えてくれました。残念ながら、詳しい場所までは説明してもらえませんでしたが、家の近くの山の奥になんとも言えない、言葉では言い表せないくらい素晴らしい場所があるそうです。きっと中洲の絶景と早川の自然が一度に楽しめる場所があるんでしょう。

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文男さん

居住地 三里地区 中洲
取材日 2001/12/03