今でもきつい坂を登っています

 集落の上の方に、英子さんがだんなさんと二人で暮らしているお宅があります。玄関には青く塗られた壁に飾り窓があって、旅館でもやっているのではと思うような立派なお家です。ここでは新聞屋も魚屋も八百屋も下の道路までしか来てくれません。ほとんど外に出ないという今でも一日に二回は下まで降りていくそうです。以前は、現在林になっている上の方に麦畑があり、そこでの農作業もあったとか。この辺りの人には当たり前の話でも、実際に上り下りを体験すると頭が下がる思いです。 この辺りは若者が働く所がないこと、それに高校が外にしかないことが人が減ってしまう大きな原因だと教えてくれました。子供が町外の高校に入るときに、甲府や昭和、竜王辺りに家を建ててそこで暮らす場合が多いと教えてくれました。英子さん自身のお子さんは三人とも高校のときは下宿をし、現在は外で暮らしているとか。最近は周りの家にも人がいなくなったと寂しそうな顔をする英子さんですが、お盆の頃には相撲大会があったり、公民館の屋上でカラオケや盆踊りをしたりでこの辺りも活気が戻ります。三人のお子さんもその頃には家族連れで帰ってきて賑やかになるそうです。

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英子さん

居住地 三里地区 新倉
取材日 2001/12/06