卓の彩り

 日用品を取り扱うお店を始められて20数年になると話始めて下さった嘉子さん。お店には、あらゆる品物があり、近隣に住む住民の方々を助ける存在です。私たちが子供の頃に使っていた懐かしい柄のお箸も見つけて、しばし驚喜した私たちでした。
 娘さんご夫婦とお住まいで、3人おられるお孫さんの一番下、もうすぐ3歳になる康聖くんが、私たちの取材中、顔を覗かせてくれました。早川の人口の減少は、やはり、嘉子さんの気になる事柄だそうですが、あまり気にせずに、今の暮らしを楽しむようになったと言います。前向きに考えておられるご様子の裏には、生まれたときからの早川への思いが見え隠れします。背後に迫る山々の紅葉、豊かな早川の水、そして空気も昔から馴染み親しんだ、この地への安心感の一角だとおっしゃっていました。お料理もお好きで、蕗の煮付けとゆず湯をご馳走して下さいました。梅漬けは、ご近所などに配って回られ、ご自宅用が限られてしまうほど。ご近所のお年寄りに毎日、お料理を配っていたことからも、その上手さとまめさが伺えます。毎日お料理を配る、とは、そうそう出来るものではありません。
 亡くなったご主人は、狩りがお好きで、大物の熊や猪などが、よく食卓を賑わせたそうです。お宅を出る時には、なぜか美味しい荷物を手にしていた私たち。先程の蕗と残り僅かになったという梅漬け、そして白菜まで頂いてしまいました。取材をする仲間たちへに、美味しいやさしい思いの詰まったおみやげとなりました。

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嘉子さん

居住地 三里地区 新倉
取材日 2001/12/03