編みたてのマフラーが耳もとまであっためる

 おこったりすることもあるのだろうか。軽ーくって柔らかいふわふわしたようなものが、編みたてのマフラーみたいに耳元まであったまる感じ。雅生さんの声は、そんな感じ。
 19歳のときに早川に来ましたが、それまでは長野県の黒姫の牧場で働いていたそうです。牧場は、朝の4時半から始まり、夜の7時半ぐらいまで、大変なお仕事をなさっていたのですね。今は野鳥公園で山の鳥や動物や、そこへ来るお客さんを見守っています。そうそう、今は23歳。お若いのにあんな声が出てくるなんて。目がやけに細くなってしまう。子供に説明するんでも、私たちとお話するんでも、この調子で喋ってくれるのがとても有り難い気分になる。目がやけに細くなってしまう。
 その前の前は、東京の世田谷に住んでいたのだけれども、そのころから自然との関係が好きだったのだそう。野鳥公園のオモシロサは全部自然だってことだといっていました。カメラ持って歩いたり、お客さんは写真好きだったりするから、話が合っていい仲間になったり。冬は部屋から外を眺めることが多くなるので、ある冬は芝生に生えるクローバーを食べに来た猿が、44匹集まってるところを見たって。それを見たのもすごいけど、よく44匹いるのを数えたと思う。
 お出かけは、ほとんど自転車だったそうで、そんな生活特有のご意見。早川は車の道はいいんだけれど、人の道、人の歩く道が悪い。子供の遊ぶ場所も少ない。それでもここ野鳥公園へは遊びに来られるのに、来るまでの道が悪いんじゃ。ちょっとずつでも善くしていきたいですよね。
 早川の良さは、やっぱり自然が多いということ。親戚がいらっしゃったそうで、小さいころから早川へは来ていて、このくらい自然でないと田舎とは呼べないと思っていたんだって。最近はバードウォッチャーづいていて、北海道のタンチョウヅルや鹿児島のツルを見に行きたいそうです。自然との関係のお仕事からうまれた自然との関係を確かめる楽しみ。このお仕事を楽しんでやっているところがとってもいい。

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雅生さん

居住地 三里地区 新倉
取材日 2001/12/03