苦労の後は殿様気分

 梅子さんのお家の中はかなり広く、見渡すと珍しいお宝がいっぱい。山で見かけた不思議な形をした木や、ご主人が昔もらった賞状など、そんな興味深いものに囲まれて、こたつの中でおいしいみかんをいただきながらお話を聞かせていただきました。
 梅子さんは元は保の出身で22歳のときに古屋にお嫁に来ました。一時期は東京に出て働いたこともあったそうですが、終戦後は古屋に戻って家のお手伝いに務めました。昔の農家のお仕事は大変だったそうです。家ではもともと養蚕のためのクワ畑をやっていましたが、それを平らな田んぼに変えるなど、厳しい作業でも頑張ってこなしたと言います。しかし田んぼを作ってもどこの家でもなかなか米が食べられなかった時代は、サツマイモをたくさん植えてよく食べたそうです。梅子さん自身はこういったものはあまり好きではなかったようですが、楽になった今となっては良い思い出になりました。梅子さんのお子さんたちがまだ小さかった頃、梅子さんのお父さんが、「あの子にだけは米を弁当に持たせろよ」と言うので、麦を煮たものの中に少しだけ米を入れて炊き、子どもに持たせ、子どもが学校へ出かけた後、家族皆で残りの小麦を食べたことがあったと語ってくらました。
 しかし、そんな苦労をなさった梅子さんは「今は昔の殿様のようだ」と言います。お子さんたちは外へ出て働くようになり、しょっちゅう畑や庭(きれいな庭である)の手入れに来てくれます(写真中)。大事にしてくれるため、近所の人からはいつもいいないいなと言われる、自慢の子どもたちです。お子さんは5人で、お孫さんはその倍の10人。梅子さんの一番のお楽しみは冬は「こたつの番をしながら」大好きな孫のために、昔からやっている編み物で服を編んでプレゼントすることです。また暖かい季節になれば畑の手入れやカボチャのお世話にはげみます。とにかく家の中でゴロゴロしているのは嫌だそうです。可愛いお孫さんに囲まれいつまでもお元気でいてください。

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梅子さん

居住地 五箇地区 古屋
取材日 2002/03/02
取材者名 設楽 浩