ばぁばのコンピューター

 ゆきえさんにお話を伺ったのは、2月の終わり、そろそろ車が花粉で黄色くなり始めた頃でした。
 「建設業でも技が必要」建設業に携わるゆきえさんは、そうおっしゃっていました。今では細かな作業でも資格が必要なのだそうです。さらに、不況の今、受注量が少ない中でのやりくりはとても大変だそうです。雇っている人の生活を預かっているから、仕事がなくても休んでもらうわけにはいかない。それが一番の悩みのタネ。でも、だからこそ頑張らなければならない、そう思っているそうです。
 かつてゆきえさんが東京で生活していた頃、そろばんで経理を行っていました。そろばん教室に小学校のころから通っていらっしゃり「数字は得意」なのだそうです。お持ちになっているそろばんを二つ見せてもらいました。それらはゆきえさんの長年のパートナーとして重い存在感をもっており、一体感すら感じさせられました。「ばぁばのコンピューターだからダメよ。」そろばんだけは、いくら可愛いい孫でもおもちゃにはさせられないようです。
 休日は農作業をしていることが多いそうです。また、けっこうそんな生活も気に入っているようです。そんなわけで、お話の合間に、ゆきえさんが摘んだお茶を入れてくれました。自分で栽培したものを、工場で加工するのだそうです。甘味と香りが鼻にもぐりこんできました。花粉がなければもっといい香りがしていたのだと思うと、花粉が少し憎らしくなりました。
 母親が早川町の人で、中富町に嫁いで、そしてその娘であるゆきえさんが早川町に戻ってきた。「人口が減った分、私が恩返ししたのよ」そうおっしゃいました。子供さんが小さい頃は病院などについて気を揉んだりもしたそうなのですが、今ではやはり「住めば都」。早川にきてから大きな病気をすることもなく、がんばっているというゆきえさん。これからもがんばってくださいね。

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