マリア

 みつえさんは、現在一人でお暮らしになっています。早川町白石から、保へとお嫁にいらっしゃいました。旦那さんのお体の状態が芳しくなかったため、当時は農業と養蚕をみつえさんが切り盛りしていたそうです。養蚕と聞いて納得。なるほど、風通しの良いお家であったわけです。涼やかな風鈴の音がとても印象に残っています。このお宅は、昭和20年1月に保地区を襲った火災の難を運よく逃れ、約100年に渡って保地区の時代を見つめてきました。お部屋の中には、旦那さんのお父様がお作りになられたという木彫りの彫刻が沢山飾られています。自身をモデルに彫られた彫刻をはじめ、獅子頭や仏様、大黒様、そして一番私達が興味をひかれたのがマリア様の彫刻でした。全体に丸みを帯び、滑らかな曲線が特徴的です。
 お父様は多才な方だったそうで、奈良田の方言にも精通されており、よく学生が訪ねて来たと、みつえさんは懐かしそうにお話になって下さいました。このお盆にはお子さんやお孫さんなど来客が多かったそうです。蚊が多いから、昔はよくかやを吊って寝たこともあった。居間のガラス棚から見下ろすマリア様に見守られつつ、これからもみつえさんを囲んで賑やかに来客の方々が寝泊まりされるのでしょう。

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みつえさん

居住地 都川地区 保
取材日 2001/08/28