愛する孫や子どもたち

 はなこさんは、現在、1人でお住まいで、訪ねていくと、快く上がらせて下さいました。
 保で生まれて保に嫁いだ、生粋の保っ子です。「早川入では都川の保が一番にぎやかだ」と言われていたころから考えると、ずいぶん寂しくなったと言いいます。そのころは子どももたくさんいました。今の子どもは「勉強、勉強!」と言われますが、昔は勉強よりも家の手伝いが大事でした。子どもを負ぶって学校に行く人もあり、子守りが子どもたちの大事な仕事でした。子守りをしていれば、みんなで集まって遊ぶことが出来たので、子守りは楽しみでもあったとか。
 子守りといえば、はなこさんには、ご自分が子守りをした自慢のお孫さんがいます。お子さんが勤めをしていたので、はなこさんが子守りをして、夜は抱いて寝たのだそうです。お話を伺っている間、何度も、「孫はかわいいよー」としみじみおっしゃっていました。お孫さんのほうも、遊びに来ると肩をもんでくれたり、お誕生日に手押し車をプレゼントしてくれたり。身につまされます。
 お子さんは、甲府や下山、神奈川に住んでいます。中でも、下山に住んでいる娘さんは、近いこともあって、ちょくちょく花子さんのところに来てくれます。料理を作って持ってきてくれたり、病院への送り迎えをしてくれたり。「娘の方がいろいろ頼みやすいしねー」孝行な娘さんですね。息子さんも、「一緒に暮らそう」と言ってくれるのですが、はなこさんは「私はここで留守番しているよ」と断るのだそうです。甲府は慣れないし、怖い。保の方が悪い人もいないし、のんきでいいのです。「1人でここに暮らしていると安気だよー。」ただ、やはり1人というのは寂しいものです。同じものを食べて、美味しいとかまずいとか、いろいろ言いあって食事をするのが一番だけど・・・。
 畑仕事も少しやっています。お子さんは「畑でどこかに落ちでもしたら困るから」と心配してくれますが、やっぱり何もしないではいられないのです。
 私たちが薬袋から来たという話をしたら「私も薬袋へはよく行って、知っているよ。」お姉さんや、旦那さんのお姉さんが薬袋に嫁いでいたので、養蚕が忙しいとき、手伝いに行ったのだそうです。
 保で生まれ、保で暮らし続けるはなこさん。お子さんやお孫さんに愛情を注ぎ、愛されながら、保の暮らしをこれからも精一杯楽しんで下さい。

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はなこさん

居住地 都川地区 保
取材日 2001/08/28
取材者名 柴田 彩子