限り無き挑戦

 萬輝さんとたみ江さんはご夫婦そろって勉強熱心です。2人とも生涯教育の一貫として県が行っている勧学院の大学院の1年生をしています。月に2回甲府まで行って勉強したり、他にも内外の研修旅行やクラブ活動、学院祭などがあるそうです。クラブ活動では大学院で早川町を探索したこともあるとか。
 2人ともとても元気でプラス思考です。去年は20世紀最後の記念として長野県の燕岳(つばくろだけ)に登ったそうですが、これには色々なエピソードがあります。2人が子供の頃、国語の教科書に「燕岳に登る」という文章が載っており、当時たみ江さんは授業で書いたその感想文がとても優秀だったため印象に残っており、また、萬輝さんも想いをあたためており、いつかその山に登ってみようと思っていたそうです。そして夫婦で登りました。山頂での雲海の上から望む日の出は感動的で、萬輝さんがその瞬間をカメラに納め、たみ江さんが感動を漢詩に読みました。そしてその詩をたみ江さんが習字で書き、日の出の写真とともに学院祭で発表したそうです。誰かからか反響があるととても嬉しいと笑顔で語ってくれました。野菜作りで、あげた人から美味しいと言われた時の喜びと同じように、自分の感じたことを表現し発信して、それに対して何かしらのアクションが帰ってくることは、何かを続けていく上で大切なことのようです。
 昔は家には、2階の上に「わにけい」という屋根裏部屋のようなものがあり、昔の小説や医学書などの古文書や刀剣類、金山採掘用の機材もあったそうです。しかし10数年前に家を建て直した際、萬輝さん自身が立ち会わなかったため、そのいくつかは残念ながら所在が分からなくなってしまいました。それでもまだ十分貴重なものは残っており、中央大学の山村研究会が調べに来ているそうです。その時の調査書類を見せてくれました。まだ全部調査し終わってないので、次回の調査を楽しみにしておられるようです。
 保の集落については、現状に満足していないようです。マイナス思考な人が多く、緊張感がないと感じていました。早川町の中心に位置し、歴史もある集落だから、できることも諦めてしまっては勿体無いと残念そうでした。行田山キャンペーンには、大勢の友達をご自宅に泊めて、その夜の賑わいを外へ伝えることが、集落にも刺激になると考えているようです。多くの人が出入りすることは活性化に繋がると言っていました。
 2人のモットーは「限り無き挑戦」であり、言葉の通り、短歌、詩、漢詩、習字、そして料理と多趣味で、それ以外にも応接間には沢山の本が並んでいました。樹医の勉強もしていて、自分達でできることは自分達でしようと、今までは庭師に頼んでいた庭の手入れも楽しくやり、とても落ち着くお庭でした。これからも前に進んでいきたいとやる気満々で、パソコンのe-mailも最近始めたとか。でもまだ楽しめる段階にまでいっていないと少し残念そう。これからもアグレッシブにいろんなことを受信発信していきたい、そんな意気込みが感じられるとても元気な仲のいいご夫婦です。

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萬輝さん たみ江さん

居住地 都川地区 保
取材日 2001/09/02