親孝行してよ!

 右子さんの一日は畑仕事から始まります。朝御飯前に畑へ出て、午前中は趣味兼仕事の和裁をして過ごします。若くして旦那様を事故で失ってから、三人の子供達を育てるために働いてきました。「それまでは何不自由なく暮らしてきたけど、急に一家の稼ぎ頭になって。小説になりそうな人生よ。」
 保の郵便局でも働きましたし、東京電力の上役が宿泊する施設の料理人をしていたこともあったそうです。また、趣味であり得意な和裁の技術を活かして、お祭りに着るための浴衣を50着も縫ったことがあります。その実績は口伝てに伝わり電話での注文もありました。着物が出来上がると取りに来てもらってお茶を飲むのだそうです。
 右子さんの努力のかいあって、3人の子供達は皆さん立派です。息子さんは緑化土木会社の社長さんで、右子さんのお庭にある百日紅の木やブルーベリーの木もその息子さんが植えたものです。もうひとりの息子さんは千葉県の市役所に勤めていらっしゃいます。娘さんは千葉県で御結婚されて政治家をなさっています。「みんな立派に育って、親孝行してくれるよ。」と嬉しそうです。
 最近は絵画を描いたり、文章を書くのが趣味です。人物画を描くのが一番好きで、9人もいるお孫さんの顔を思い出しては描いています。また、自分の人生を小説に仕立てたい、ともおっしゃっていました。若いころは子供を育てるのに精一杯でしたが、今は自分の好きなことをする時間がたくさんあり、右子さんはイキイキしています。

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右子さん

居住地 都川地区 保
取材日 2001/08/30