受け継ぎ、越えていくもの

小さい頃、父親に連れられて猟に出かけていた光司さん。
 今では、念願の狩猟免許を取り、鹿や猪を捕っている。
 今シーズンは鹿5頭、猪1頭をいただいた(捕った)そうだ。
 猟をした後、かのし(かのし会。光司さんが入っている猟師のグループ)の仲間で一杯やるのが一番楽しいと語る光司さんは現在、実家の奈良田温泉・白根館で三代目として修行中。
 名古屋の大学を卒業後、元々旅館の仕事をしたかったことから、調理師免許を取り、名古屋や新潟の旅館で修行を積み、奈良田に帰ってきた。
 そんな光司さんは以前から、奈良田に伝わる民謡や三味線を習っている。
 というのも、奈良田では古くからの奈良田弁とよばれる独特の方言を話す人が少なくなり、方言や民謡といった文化を受け継いでいきたいと考え、教わっているそうだ。
 それでも、仕事が忙しく、なかなか練習ができないのが悩みの種だ。
 たまの休みには小学校や中学校の同級生に会いたいと思うこともあるが、奈良田には光司さんと同じ年代の人が少なく、ほとんどの人が早川から出ていたり、家庭を持っていたりしてなかなか会えないようだ。
 白根館の売りについて尋ねてみたところ、まずは、『温泉』。
 温泉を生きているものとして考え、旅館にとって最も大切なものだとの答えが返ってきた。
 また、自分たちで猟をしていることもあり、本物を手作りで提供することも大切だとのこと。
 奈良田でも猟をする人が減り、今では3軒しかやっていないことをとても残念がっていました。
 今後の奈良田については、道路が整備され、秘境らしさが薄れてしまったので、できるなら集落全体を昔風の姿に作り直し、昔住んでいた人たちも戻ってきて、奈良田弁が飛び交うような集落になれば理想だと思っているそうです。
 最後に、今後については旅館の仕事がしたくて奈良田に戻ってきたので、ずっと奈良田で旅館を続けていきたい。そして、目標とするお父さんに一歩でも追いつきたいと話してくれました。

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光司さん

居住地 西山地区 奈良田