今も昔も久田子のガキ大将!

 利金さんは久田子で生まれ、今日までずーっと久田子に住んでいる根っからの久田子ッコ。今は町議会議長を務める利金さんだが、中学校時代にはガキ大将として有名で、よく先生を困らせていたという。昔は川の水量が多かったので、いかだをつくって学校から久田子橋まで下るといういたずらもしたという。父親を戦争でなくしたため、5人兄弟の長男であった利金さんは、高校進学をあきらめ一家を支えるべく炭焼きの仕事を始めた。一方では家の裏手にある神社の静かな境内で高校のテキストを独学するなど、人知れない努力があったという。20代の頃には町の外へ出て、日本中の若者と接し、様々な活動や運動をを行った。しかしその心には「自分の地元を良くしなければ、何も語れない」そう信念を貫き、必ず早川に戻ってきたという。それだけ、久田子を、早川町を良くしたいと願い続けてこられたのだ。
 今回の取材も快く迎えて下さり、これからの日本について熱く語って下さった。特に政治に関する話題や、若者に対する叱咤激励が多く「今の若者は豊かな生活に慣れすぎてハングリー精神が無く、ルールに縛られるから個性が無くなっている。もっと自然から学び、感じ、心や体を鍛え、信念を持ち初心を貫く強さが必要。今の若者の考え方が聞きたいよ!」そう私たちに笑顔で問いかけられた。「これからは地方の時代が来る。早川町は人口は少なくても、その自然はどれだけの役割を果たしているか。酸素供給や水源保持など、挙げたらきりがない。人が住むからこそ、そういった自然が守られるんだ。人が住むような場所じゃないなんていえるか!?」実体験から繰り出される利金さんの言葉は熱く、内容は幅広く、深く、利金さんの人生の厚みや深さを感じました。最後には「今度は子どもを連れてこい!」私たちを実の子どものように接して下さいました。私も、ぜひまた久田子を訪ねたいです。5年後も、そのずっと先も、久田子の里のゆったりとした時間の流れが、風景が、変わらずにいることを心から祈ります。

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利金さん

居住地 硯島地区 久田子
取材日 2002/08/29
取材者名 荻原 美香