森を守る社長さん

 一平さんは「一新林業」という会社の社長さんです。社員さんは4人。小さな会社ですが、七面山周辺の県有林の植林や伐採という大きな仕事を請け負っています。若い頃のお仕事は炭焼き。どこに炭焼きの窯があるのか聞くと、1時間くらい登っていったところにあるそうです。当時はそこに行って、チェーンソーもなかったので、周りの木々を手で切って、窯に並べていたわけです。
 というお仕事の関係上、今も昔も山にはよく入っていました。その機会を利用して、山菜やキノコを持って帰ってくることもあるのかと思ったのですが、「仕事以外のことは目に入らない」という訳で、探していないようです。時々お手伝いのために一緒に入山していた奥さんは、山で家に飾れるようなお花を探したり、山菜・キノコを見つけたりしていました。
 さて、家の中を見てみると。まず、お孫さんの写真の多さに気づきます。今11歳の長女、2つ下の弟、4つ下の妹。七五三はいっぺんに済むというお言葉通り、3人の子どもがおめかしした写真が飾られています。ひとり娘のお子さんらだそうで、現在増穂在住。結構遊びに来ているようです。
 集落の真ん中に広がる畑では、自分の家で消費するのと、親戚に送る程度の規模でやっているそうです。
 なるほど、僕らに出してくれたこのトウモロコシもそのひとつ。とても甘くて、美味でした。こういった作物がお孫さんたちに送られるわけですか。うらやましい!
 「自分が手がけた山がしっかりとそれに応えてくれるのが嬉しい」という言葉を胸に抱き、今日も一平さんは山に入ります。

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一平さん

居住地 硯島地区 久田子
取材日 2002/08/29
取材者名 小島 摂