畑仕事大好き

 実家での養蚕を手伝っていたスミエさんは、当時、青年団として牧丘に来ていた旦那様と出会い、40年程前に結婚して久田子に来ました。結婚式は、久田子の家で執り行ったのですが、道路の整備が進んでいなかったため、花嫁衣装を着たままつり橋を渡り、長く急な山道を歩いて来たそうで、当時の大変だった思い出を懐かしそうに語ってくれました。
 現在のスミエさんの一番の楽しみは畑仕事ということで、自慢の畑にはトマトや蒟蒻いも、モロヘイヤやアスパラ等々多くの野菜がいっぱいでした。特に、白絹病にかかりやすく手間が掛かり栽培の難しい蒟蒻いもが、畑いっぱいに植えられている光景は壮観です。『万能(まんのう)』『二本刃』と呼ばれる独自の農具で耕された畑には、6年掛かりで育った立派な蒟蒻いもが所狭しと植わっており、秋には収穫して、お刺し身や煮込み料理となって食卓に華を添えるそうです。今年は健康に良いということで、赤しそのジュース作りにも挑戦したそうで、自家製のしそを使っておいしいジュースをご馳走してくれました。
 スミエさんの作る野菜のほとんどが、農薬を使いません。そのため、最近の農薬が沢山使われた農作物を買うことに大きな抵抗があるそうです。「虫食いのある野菜の方が本当はおいしいのに」と語るスミエさんの切実な思いは、一生懸命野菜を作っているからこそ強く心に響くものがありました。

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スミエさん

居住地 硯島地区 久田子
取材日 2002/08/27
取材者名 猪俣 善貴