木と町を愛する芸術家

 淵上さんは、品川から姉妹都市であるこの早川を紹介され、早川にIターンしてきた芸術家で、現在京ヶ島の公民館に住んでいる。早川の人たちは、早川に若いひとが入ってくるのはいいことだと歓迎してくれたそうだ。近所付き合いも活発で、草取り、葬式の手伝い、防火訓練、日の用心、近所見回りなどをしている。さらに、若者で結成される消防団にも所属しているそうだ。集落の祭りで獅子舞を踊る時、近所の人の家にあがって食事や談笑をしたりもしているとのこと。
 そのように近所の人と親しくなって、近所の人から野菜をもらったり、作品に使う木をもらったりすることもあるそうだ。作品の木は、買う時もあるが、そのように近所の人にもらったり、川辺に落ちている流木を用いたりしている。作品は最初の頃、自分を前に進めたいという気持ちから流線型のものを作っていた。最近は、ドスンとしたメラメラした強いエネルギーを感じる作品をつくっているとのこと。作品を展示しているプレハブ小屋は、将来ギャラリーとして設計し、登山などに来る人たちが気軽に入れ、作品をみれるようにし、一部分をアトリエとして利用したいとも考えている。「作品に対して、批評家などが色々と言うが、そのようなことは気にせず、好きなものを、好きな時に、好きなだけつくっていきたい。」と目を輝かせながら語っていた。
 そんな淵上さんは、腰が痛かったり、作品がイメージ通り進まない時、温泉に行くそうだ。特にお勧めは、奈良田の温泉。風景を眺めながら何時間ものんびりするのは、最高の贅沢だとのこと。早川に来る若者に対するメッセージとして、「音楽、絵、写真など、将来の目標があり、それ早川が適しているならば、多少の苦労はあるかも知れないが、住んでみるのはいいことだ。」と、自分の経験からも真剣に語っていた。

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淵上さん

居住地 都川地区 京ヶ島