がんばれ!山ぶどう!

 定夫さんと奥さんが山ぶどうを作ろうとしたきっかけは、最近起こったワインブームに因るところが大きい。山梨県はもともと果樹王国。各地でぶどうの栽培と共にワインの生産が行われてきた。そして山梨大学の研究により、ワイン用種のカベルネ・ソービニオンと山ぶどうとの品種改良が行われた。そこで生まれたのがワインに最も適した山ぶどうである。定夫さんはその山ぶどうに着目した。「早川でも栽培できるのでは。」今年で5年目を迎える山ぶどう栽培はまずまずといえる。発足時17名だった生産組合会員もいまでは22名に増えた。つくられたワインの味も好評のようだ。
 しかし、高齢者の多いこの町での規模拡大はやはり難しい。今以上に農作業の負担が増えることをあまり望んでいないからだ。そこで定夫さんは近隣の町にも呼びかけをし、協力を求めている。この辺りの盆地の気候ならば、山ぶどうの栽培には適しているからだ。残念ながら早川だけでは畑の面積がすくなく、量産するのにも限界がある。しっかりした組織をつくって基盤を固めていくことが今の課題である。
 夏にはきれいな紫色にうれた山ぶどうが早川を彩る。新しい町の顔となって欲しい。それが定夫さん夫婦、いや町民みんなの願いだろう。

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定夫さん

居住地 五箇地区 薬袋
取材日 2000/03/21