肝っ玉お母さん

 とても気さくな佐野さん。こちらが質問されちゃうくらい気の回る方でした。佐野さんは早川に越してきて2年。しかし早川についてとても真剣に話して下さいました。
 高齢化、少子化、過疎化が全国的に進んでいる。「この対象となっている地区は、約20年前には既にこのような結果を招くと予想できたはずだ。その時点で既に何らかの対策をとっていたら、このような状態には至らなかったのでは。若者の就業の場がないのが問題。若者の就業の場を増やさないといけない。
 教育論もたくさん語ってくれました。子供が川で遊ぶとき現代の親はただ単に「川は危ないので遊んじゃダメよ」と言う。だがそれは間違っている。確かに川は危険な要素を持っているが、決して遊べない場所ではない。何が危ないのか教えていない。かわいさゆえの行動か?世話が面倒なのか?金銭感覚の違いにもつながる。苦労をさせたくない気持ちでなんでも買い与えるのは本当の教育にならない。耳が痛くなります。
 教師が地元出身ではないので地域行事に参加しない。少人数の生徒に同じかそれ以上の教師数がいる。たしかに、生徒が少数のデメリットはあるが、メリットもある。教師は家族同然になってもよい。何よりも教師、親、子ども全員が真剣に教育のことを考えなければならない。
 こんな事ばかりだと生真面目すぎる方のようですけど本当に気さくな方で、真剣さの中に温かみを感じさせてくれるお母さんでした。

 娘さんにも話を聞きました。やはり早川の交通の便の悪さを実感します。今年度まで甲府にある短大に通っていました。高校まで大月にいたので友達と遊びに行ったり、遊びに来たりするので特に痛感するようです。
 たまにお母さんと東京に買い物をしに行くそうです。「もちろんスポンサーですけど、何よりもお母さんを連れ出したい」気持ちで連れ出すそうです。しかし都会は嫌いだといいます。「やはり田舎がいい。ごみごみしている」東京に住んでいる僕たちも都会の魅力を本当に分かっているのか考えてしまいます。
 「小さい頃からよくお手伝いをしてきた」これはお母さんの考えのようですが、今はそれでよかったと思うといっていました。なるほど僕たちのお茶がなくなるとさっと入れてくれました。帰り際にも「よかったらご飯作りますよ」といってくれました。

  • 肝っ玉お母さん

佐野さん

居住地 五箇地区 薬袋
取材日 2000/03/21