薬袋の日記

 茂さんのつけた日記は、いわば薬袋の歴史をつづったもの。その日記を読み返すと様々な思い出と共に、その頃の情景や、生活の様子、農作物の状態などがわかる。ずっと薬袋で過ごした茂さんの日記は、薬袋の日記と言っても過言ではない。今はもう手が不自由なために書いていないが、それでも手伝いに来ている娘さんの良子さんに「○○を書いて」とお願いするとか。良子さんがそれらの膨大な日記を抜粋して編集したそうだ。ひょっとしたら本にして出版できるかも?
 家の中では新聞やテレビが大好き。字を読むことや、テレビ番組、特に料理番組は真剣に見入ってしまうようす。そんな茂さんの不満はチャンネル数の少なさだとか。東京の良子さんの家などに遊びに行って見るときのチャンネルの違いに驚いたようだ。
 今は良子さんが話し相手。おしゃべりも好きみたいで、起きあがることはできなくても口はよく動いていた。昔の話を聞くと「わからないでしょ」と茶化しながら、養蚕用の桑の葉を山に採りに行った話や、昔は衣類なんかは全部自分で繕った、編み物も得意よ、なんて話を聞かせてくれた。お孫さんにもよく編んであげていたらしい。
 テレビの下に何かゲームの箱が・・・。「オセロ?結構強いのよ。」と良子さんはいう。茂さんの楽しみの一つである。時々二人で勝負するらしいが、年寄りだと思ってなめてかかると痛い目に遭う。まだまだ頭脳は明晰。暗算なんかも得意にする。
 最後に茂さんと良子さんの写真を、というと、照れながらも仲の良さを象徴するように寄り添って写ってくれた。元気な良子さんの支えは、茂さんにとって何よりも頼りになるだろう。こんな親子関係は大切にして欲しい。

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茂さん

居住地 五箇地区 薬袋
取材日 2000/03/21