雨畑に残る職人技

 幸雄さんは雨畑で、10人兄弟の大家族に生まれ育ちました。現在は、父親から知石の名を受け継ぎ、2代目として弟子に技を教えつつ、町営の硯(すずり)展示場を兼ねた落ち着いた雰囲気の漂う「硯匠庵」で硯職人をしています。父親が東京の硯職人の元へ弟子入りし、ご本人は15才の頃からその仕事をまねて今に至るそうです。大正7,8年頃は雨畑にも硯職人が20人以上いて、それでも作り手が足りず製造が間に合わなかったようですが、現在ではその職人も3人ほどに減ってしまっています。
 材料の硯石は土建屋さんに頼み坑道から採ってきてもらうそうですが、雨畑の石は他の坑道で採れる石とは違い、粒子が細かいので石があまり水を吸わず墨のもちがいいそうです。硯は素材が重要で、十数枚に一枚ほど売りたくないくらい良い石が見つかることもあるようです。雨畑の坑道が減るという心配はないようですが、採り手が少なくなってきて困っているそうです。
 趣味は剣舞、詩吟と多彩で、趣味仲間に会いに甲府まで出ることもあるそうです。雨畑の職人技を伝えつつ、仕事と趣味に過ごす毎日で、とても元気なおじいさんでした。

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幸雄さん

居住地 硯島地区 本村(北村)