室畑の自然と共に

 「空気がきれいだから、年寄りが住むにはいいところ」とおっしゃっていた寛一さん、さくえさん御夫妻。寛一さんは長畑集落と室草里集落の区長をなさっています。かつては金山で栄えたこの地区も、今では2軒を残すだけとなってしまいました。それでも近くに住んでいる息子さんたちがよく帰ってきてくれているので、そんなに不自由はない様子です。「先祖の方々が残してくれた土地を守らないと」とおっしゃるさくえさん。代々の畑にはほぼ毎日、欠かさず足を運び、無農薬の野菜を育てています。
 お二人の今の楽しみは、大勢の孫達が大きく成長した姿を見せに来てくれること。よく電話で声を聞いたりするそうです。盆、正月にみんなが揃う時には、長畑が賑やかになります。
 昔林業を営んでいた寛一さんには、雲動きを読むことや、どの木にキノコがなるのか、など自然を読む力が備わっています。だから天気を予想したり、舞茸狩りにいったり。この長畑で生まれ、育ってきた寛一さんだからこそ、まさに自然と共存できるのでしょう。
 すごく元気なお二人に、健康の秘訣を伺いました。それは早起きとよく話すこと、よく笑うことの3つだとおっしゃっていました。「空気が澄んでいる長畑の朝は、とても気持ちがいい。」「なんでも話すことがいい。」というのがお二人の考え方。「ここでは助けたり、助けられたりして暮らしている。」というところが長畑の魅力だそうです。常に体を動かしていられる山の生活が、元気なお二人にはよく合っている様です。

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寛一さん

居住地 硯島地区 長畑・室草里
取材日 2001/08/29