茗荷をたくさんいただいちゃいました

 茗荷(みょうが)の茂みの中からガサガサっと現れた愛子さんは、お年を感じさせないシャキシャキおばちゃんで、傾斜地の上り下りの軽やかさに初っぱなからたまげてしまいました。
 愛子さんは毎日、朝から晩まで畑仕事をしてるそうで、「やったことのない人には分かんないだろうけど、ほんとに楽しくて、これが私の生きがいなんです。」と話して下さいました。そうおっしゃる愛子さんの表情は、これまたなんとも言えない仏様のような充足感に溢れていました。その時収穫した茗荷もご近所の人にあげるものだそうで、僕らもたくさんいただいてしまいました。
 室畑に訪れたのも愛子さんに会うのもはじめてなのに、そこでふぅーっと一息ついて佇んでいると、なんとなく愛子さんの気持ちが分かる気がします。心地よいせせらぎと虫の音に包まれ、畑を見下ろす木々は真綿のように優しく、こんなに透き通った光の中で野菜やくだものを育てたら、だれだって愛子さんのように幸せな気分になれるのでしょう。
 写真を取ろうとした時、はにかんで取らせてくれなかった愛子さんの笑顔がとてもチャーミングでした。

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愛子さん

居住地 硯島地区 長畑・室草里
取材日 2001/08/29