オットコマエとはこういうことか

 御夫婦の内、奥さんはこの早川町の出身ですが、ご主人は他所から中洲へ来たのだそうです。知らない土地でいろいろと大変なこともあったようですが、とにかく人と人の関係さえうまくいっていれば何とか頑張れるのだということを痛感されたそうです。例えば家の前の道を温泉客をのせたバスが通るときには、必ず手を振るのだそうです。そんなちょっとしたことで、お互いがどんなにいい気持ちになれるのかということを、ご主人はよく分かっていらっしゃるのです。
 御夫婦はとても家族を大事に思っています。そのために家族がお互いに果たし合う役割というものについては特に重く考えていらっしゃるようです。ご主人は、お子さんたちが中学を出てからも学校に通いつづけるために大変な苦労をなさったそうです。1日かけてセメント50キロを背負って運んだ話など、まさにご自身でおっしゃっていた通り、「自分の身体を削って」家族のためにつくしてこられたのです。でも、なによりなのは今、御夫婦が「苦労しただけのことはあった」とおっしゃることでしょう。
 そのように丈夫な体で家族を支えてこられたご主人も、ここ10年程体調が思わしくないそうです。が、最初にかかった病院の院長先生がとても良くして下さったので、その後かかった先生達にもうまく治療してもらえたと感謝しておられました。ただ、自分で車を運転することもやめた今、通院は大変なので、お隣の中富町でしているように、病院へ行くお年寄りを集めて送迎するバスを走らせてもらえればとおっしゃっていました。
 そして今お2人の一番の願いは、2年後の金婚式を一緒に迎えることだそうです。ご主人はお医者さんに、「自分の命は預けたから、どうか2人でその日を迎えられるように」とお願いしたそうです。しかし、2時間近くもずっと力強くお話して下さったご主人の様子からすると、全くそんな心配はないように思われてくるのです。

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オットコマエさん

居住地 三里地区 中洲
取材日 2001/12/07