第二の故郷を探して

 足立さん夫婦はもともと東京の下町、深川のご出身。
 釣りやキャンプを趣味にしていた旦那さんは、大手自動車メーカーを退職後、広大な自然の中で牧場を開くのが夢でした。
 あえて親戚のいない所、全く知り合いのいないところで、水と空気のキレイな所を探していたそうです。4、5年もの間あちこち探したけれど、希望通りの場所はなかなか見つからず‥‥。
 そんなとき、NHKの「小さな旅」で放送された早川の様子を見て興味を持ち、移住することを決めたそうです。
 奥さんに聞くと、早川への移住を決めたときの気持ちは半々だったとか。奥さんは元ガールスカウトの団長さん。自然環境の良い地方への移住には賛成だけれど、慣れ親しんだ東京の暮らし、都会の感覚を完全に捨てることには抵抗があったとか。それで、今でもガールスカウト東京支部を手伝うため、月2、3回は上京しています。「早川はもちろんいい所だけど、そこしか世界がなくなってしまっては物事に対する視野が狭くなってしまう。そのためにも毎月の上京は良い刺激になるんです。」と話してくれました。
 旦那さんは、せっかくの技術を持て余している年配の人へ仕事を、と町工場を経営。大手自動車メーカーからの依頼で産業ロボットの部品などを作っています。また奥さんは子供たちに日本舞踊を教えたりしていて、今年は教え子さんが文化祭でその成果を披露し、大変盛り上がったそうです。常に前向きに新しいことに挑戦するパワフルなご夫婦でした。
 そんなお二人が話す移住後の近所付き合いのコツは、最初から無理に溶け込もうとせず、地元の人と自分たちは基本的に違うというスタンスを持つこと。あとは時間の経過と共に自然に溶け込める部分は溶け込んでいけばいい、とのこと。これから移住を考える方は、ぜひ参考にしてみてはどうでしょう。

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足立さん

居住地 三里地区 中洲
取材日 2001/12/07
取材者名 小宮 一穂