不屈の精神

 美代子さんは、まず、ご自分の幼いころの生活を語ってくれました。当時はどこの家も食べていくのがやっと。生活はかなり厳しかったそうです。美代子さんも、小さいころ学校へはあまり行けず、家の手伝いをしていたとか。
 10代の頃には、静岡のみかん農家へ手伝いに行ったこともありました。11月のはじめに、同じ集落の子どもたち3~4人と一緒に静岡へ行き、2ヶ月間住み込みでみかんの収穫を手伝うそうです。浜風がヒューヒュー吹きつけ、寒くて手がかじかみ、さぞかし過酷だったことでしょう。また13貫(約50kg)ものみかんを背負って、みかん畑(といっても山道)を下るそうです。霜で滑り、怖かったとも語ってくれました。そんな辛さを紛らわすために、みんなで歌を口ずさみながら作業したそうです。
 そんな厳しい生活を経験されたからでしょう。美代子さんはかなりの努力家です。若いころに親戚のおばさんに「本をたくさん読め」と言われ、ほとんど独学で読み書きを覚えたそうです。今でも文字の書いてあるものには極力目を通すようにしているとか。
 また、料理も自分であれこれ試しながら、味付けなどを工夫しています。お話を聞いている最中にも、美代子さんお手製のお漬物を頂くことが出来ました。にんじん、だいこんに塩とお酢、仕上げにニンニクを入れるそうです。そのニンニクが効いていて、ちょっとピリッとしてお酒が進みそうな味でした。
 美代子さんは最後にこう言いました。「自分で楽しみを作っていかないと!」。こんなかっこいいセリフが出てくるのも、小さいころからの苦労を自分の力で乗り越えたからでしょう。

  • 不屈の精神

美代子さん

居住地 三里地区 中洲
取材日 2001/12/03