「まげもの」

 勇さんは、奈良田生まれで現在は奥さんと2人暮らし。お子さんは娘さんが3人いて、3人ともお嫁にいっているけれど、近くの町に住んでいるので結構訪ねてきてくれるそうです。
 奈良田を出たのは戦時中は名古屋に行っていた時だけで、戦後は奈良田に帰ってきて林業をやっていたそうです。林業をやめてからは登山客のための山小屋の経営をはじめ、15年くらい前まで続けていたそうです。この時は奥さんと2人で1年の内半分は山小屋で暮らすという生活をしていたと話してくれました。
 勇さん、実はものすごい多趣味家です。山小屋を経営している頃から時間を見ては写真をとっていたそうで、玄関先には山や野鳥の写真がたくさん飾ってありました。他にも釣り、ゲートボール、グランドゴルフもしているそうですが、やはり1番の趣味は、昔からやっていると言っていた「まげもの」です。昔の奈良田では、この「まげもの」は生活道具として使用したり、売ったりしていたものだということですが、今では勇さんしか「まげもの」を作れる人はいないそうです。勇さんは、小さい頃に年寄りが作っているのをみて学んだそうです。自宅には専用の作業部屋を設けてしまう程の入れ込みようで、山からとってきた檜を材料に「まげもの」を作り続けています。腕前はかなりのものと見え、自分の家の傘立てまでも作ってしまい、よく人から作ってくれないか、と言われるそうです。かく言う我々も思わず「ください」と言ってしまい、特別に一つ頂いてしまいました。本当にありがとうございます。
 年を感じさせないほど若々しく見える勇さん、これからも元気に奈良田の伝統ある「まげもの」を作り続けてください。

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勇さん

居住地 西山地区 奈良田