楽しかった思い出

 福雄さんとはなえさんは生まれも育ちも奈良田。お二人とも焼畑を経験している。はなえさんによると、焼畑のとき山に建てる小屋は、みんなでわいわいやって、本当に楽しかったそうだ。藤のツルでブランコを作って遊んだり、自然の中でいろいろな遊びをした思い出がある。
 昔の祭りも楽しかったそうだ。当時は「ごちそうは無いけど、本当に楽しかった」と。
 確かに福雄さんの思い出は戦時中や終戦直後の食糧難。缶詰めや豆の粉を配給されていたという。奈良田は標高800m、日照も少なく米はとれないので、まげもの、げた等と物々交換で米を貰ったりしたそうだ。
 長いこと発電所に勤めていた福雄さんは、ダムについていろいろとお話を聞かせてくれた。まだダムが土砂に埋もれる前は、夏には沢山のボートが浮かび、冬はスケートができたという。
 福雄さんの趣味は大工仕事。屋根をはったり、柵を作ったりと忙しそう。家の周りにはそうした見事な作品がいろいろある。
 はなえさんによると、現在は移動スーパーが来たりして、さほど不便さは感じていない。冬は痛いぐらいに寒いが、雪は減ったそうだ。みんなでお茶を飲んだりするのが毎日の楽しみ。「ここから離れたくない」と語るはなえさんの気持ちが、ジンジンと伝わってきた。

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福雄さん

居住地 西山地区 奈良田