ちっと楽しみに
僕らが栄子さんのお宅へ伺ったのは、よく晴れた暖かい冬の朝。ちょうど障子紙の貼り替えをしようと縁側にいた所へお邪魔してしまったのですが、それでも快く取材を受けて下さいました。
東京の蒲田で生まれた栄子さんは、若い頃、お手伝いの仕事に就いていました。その後、お母さんの故郷である西之宮に戻ったところで旦那さんと知り合い、結婚されて今へと続いているのだそうです。
もっと昔の話を聞こうとする僕たちに、栄子さんは「振り返らず前だけ見てきたから話すことがないわ」と笑いました。その言葉には栄子さんの人生の深みが表れていて、説得力があり、とても印象的でした。
お二人の間には二人のお子さんがいらっしゃいますが、仕事の少ない早川を出て町で暮らしているので、今は夫婦水入らずの生活です。
そんな栄子さんの楽しみは畑仕事。作物には厳しい冬の寒さの中でも、少し目を離せば雑草が「もう青くなって待って」いて、春に向けて畑を綺麗にしておくには、毎日けっこう忙しいのだとか。
今は、春になって作物を植えるのを「ちっと楽しみに」しながら、畑の手入れの合間に障子を貼り替えようと思って‥‥と、時間を見ればもうお昼前。これ以上お邪魔しては大変と思い、お礼を言ってお宅を出た後で、何かお手伝いすれば良かったかな、と少し反省した取材班でした。
栄子さん
居住地 | 都川地区 西之宮 |
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取材日 | 2002/02/21 |