ブタにとっても良いところ

 養豚所のイメージは、あちこちでぶーぶーぶーと騒がしい、そんな感じでした。小町さんのお話を聞くまでは。

 初めてこの牧場に行ったとき、とても静かで、鳴き声が全然聞こえないため、本当に豚を飼ってるの?と思ってしまいました。小町さんのお話では、豚がぶーぶー鳴くのは、餌が不十分で、ケンカになるからだそうです。餌を十分に与えれば、ほとんど鳴くこともないそうです。なるほど、納得です。

 今の早川にある牧場は、埼玉から移転してきたものです。2001年12月にこちらに来たそうです。正式オープンは4/21。オープニングセレモニーも考えています。
 今の環境は豚にとっては最高ということです。埼玉の頃は人や車が多く、自衛隊の基地もあり、飛行機の音がうるさいところでした。そのため、豚にはストレスの溜まる環境でした。今ではそういったストレスの原因はなくなりました。また、豚を飼う上で気を付けなければいけないのは、病気ですが、ここ山梨県は豚の伝染病がないそうです。よりよい環境求めて、ここに移転してきたそうです。ただ、こちらでは、早川には例え浄水装置を通しても、一滴たりとも排水を流してはいけないということで、糞尿処理施設はかなり力を入れています。全て、堆肥として再利用。早川町内で使ってもらうのがベストなのですが、今のところは町外に出ているそうです。袋詰めという作業がネックになっているそうです。

 サイボクの豚肉の品質は日本一。DLGという世界大会では見事金メダルに輝いた実績を持ちます。「どっちの料理ショー」に採り上げられたこともあるそうです。豚の健康を第一に考えています。肉骨粉や血しょう淡泊のような、不自然に成長を促進させるような餌は与えず、あくまで、自然な成長だけで飼育を行っています。そのあたりのこだわりも、お話の中で十分に伝わってきました。

 小町さんの実家は埼玉。牧場移転に伴い、こちらに単身赴任でやってきました。牧場内の一戸建てに同僚と住むようになってまだ3ヶ月程度。生活に関しては、激変した環境に対して、頭の切り替えが大変だったようです。ただ、自然は好きなようです。学生の時は山によく登ったそうですが、今はそんなに登っていないそうです。これからは山も近くにあるので、登山の機会は増えますね。

 今後の畜産業についてもお話してくださいました。日本の畜産業・農業では、「自分の代で終わりだからいいや」という考え方をする人が多いといいます。もっとひとつの産業として、長期的に将来のことを考えていくことが必要だとおっしゃっていました。

  • ブタにとっても良いところ

小町さん

居住地 都川地区 西之宮
取材日 2002/02/24
取材者名 小島 摂