未来を考えるおばあちゃん

 たけじさんは、どんどんと人の減っていく地域のことを誰よりも心配しています。象徴的な出来事として去年の大晦日の事を話してくれました。たけじさんが夜、外に出た時に同じ通りの家々に明かりがついていないことに気付いたそうです。息子さんには昨日今日始まったことではないと言われてしまいましたが、まさしく町の明かりが消えたような光景はショックだったようです。「今は元気に畑やらやっていても少し悪くなったら子供の所に行く他ない」という現状に対して、残っている人よりも出ている人に働きかけをした方がいいのではという意見を持っています。ちなみにたけじさんのお子さんはここに戻ってきたいと言っているそうで、将来に向けてりんごの栽培をお家の目の前で始めています。この辺りでは珍しいりんごの木ですが、研究によるとリンゴは早川町の土に合うのではということらしく、ぜひ収穫の時期に見に来たいと思いました。
 西之宮で生まれ育ったたけじさんは初代白石トンネル(現在は3代目)が通学路だったそうです。トンネルのあちこちから水がしみ出していたために足下は泥でぐしゃぐしゃで通る時はわらじを脱がなければならなかった。道が細かったために車が通ると壁に張り付いて避けた。といった話を聞いて昔の人は偉かったなぁと私達が感心すると「過去ばっかり追ってちゃだめですよ。未来を考えないと」と照れていました。ちなみに今、役場までなら自転車で行くことがあるとも聞きました。うーん偉い。

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たけじさん

居住地 都川地区 西之宮
取材日 2002/02/22
取材者名 熊井 健