脇には子ぶたを抱えて生きていく。

 洗いざらしの木綿Tシャツが、寒さ盛り2月の目に眩しかった裕一くん。埼玉より移転して来られたサイボクハムの、早川における記念すべき第一期の研修生です。
 裕一くんは、千葉にご実家があり、家族で養豚を営まれています。さつまいもも、出荷されていたのですが、今年からは、養豚一本に絞っているそうです。
 小さい頃から中学生のときまでは、家業を継ぐと現実には思っていなかったと言います。しかし、高校3年生の夏頃には、養豚業を継ぐと決心しました。きっかけは、お父さんの仕事をする姿に、格好いいな、と思ったこと。サイボクハムという自宅を離れての研修先は、お父さんが探してきたものです。サイボクハム会長の講演に感銘しての提示です。
 色々な形態を見て、自らのやり方を探求していく。自らの判断で、生きる道を一つ一つ択一していく。こんなことは、そうそう実行できるものではありません。まだ、ティーンエイジャーの裕一さん。これから、研修やご実家での生活を通し、じっくりと掴み取っていくのでしょう。
 豚のお産は、週に1、2度の割合。お産後の母豚は、高い熱が出るのだそうです。解熱剤を、豚の耳に注射するのも裕一さんのお仕事のひとつです。まるで、お医者さんのようですね。
 裕一君は、小学校の6年生から高校の3年生までの間、野球をしていました。ポジションはセカンド。打順は、2番でした。早川に来てからは、同世代と会う機会がなく、スポーツからは少々遠ざかり気味だということですが、バイクに乗って奈良田の温泉に行ったりと、フットワークは、うーん、やっぱり身軽です。こちらに来て間もない頃は、裏の山に出た猿を珍しくて、追いかけたこともあったそうです。
 さて、裕一くん。火曜日の夜には、体育館で、バトミントンが行われています。私たち取材人達も、取材期間中は、たびたびお邪魔させて頂いています。身体を動かすことが好きな裕一くん。今後は、もしかしたら体育館でお会いできるかもしれませんね。

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裕一くん

居住地 都川地区 西之宮
取材日 2002/02/24
取材者名 奥津 直子