和製インディージョーンズ

冒険談って映画や漫画の世界での出来事だけだと思いますか?そんなことはない!!ここ早川町でもちゃんと冒険談の一つや二つはご用意しています。早川をご存じの方なら、あの急峻な山々と激しい流れの河川を思い浮かべるだけでドキドキしてきませんか。
 どんなに安全に配慮しても、自然相手の仕事には危険がつきまとうもの。特に早川の人々は自然と上手く付き合って生活してきただけに、その自然の気まぐれの中で危ない経験をした人も少なくはありません。ここで紹介する唯次さんも危険な目にあったことがあるそうです。それは道も満足にない山奥で、材木の切り出しを行っていた時のことでした。索道造りから山小屋の建設も行いつつ材木の切り出しをするので、男たちは1年から2年は家を空けて、山に泊まり込みで林業に従事していました。そして女が家の周りの畑を管理する。これが早川における1970年代までの普通の暮らしぶりでした。そんな中、秋のムギの播種を手伝うために、男は1週間だけ山から里に下りました。
 唯次さんもその中の一人でした。しかし山奥から急いで帰る時に、あまりに急いだため、下山中に止まれなくなり、しかもあいにく霧が出てきたので、まったく視界もなくなってしまいました。その結果、あと少しで崖から転落して命を落とすところだったそうです。実際、早川町外の人も含め、10年ほどの間に10人以上の方々が林業作業中に亡くなられているそうです。
 そんな冒険家の話も今は第二章に突入。サツマイモやジャガイモ、ダイズにトウモロコシなどの農作物を狙うサル・イノシシ・ハクビシンを相手にして、爆竹片手に戦い続ける毎日です。戦え、和製インディージョーンズ!

  • No Image

唯次さん

居住地 硯島地区 老平
取材日 2002/08/04
取材者名 平田 滋樹