ゆけよ、我が道

 雄二さんは甲府生まれ、甲府育ち。西山温泉に実家があったため、よく遊びに来ていました。今より水量が豊かだった早川は、格好の遊び場でした。そんな少年時代を過ごした雄二さんは、今ではその西山温泉郷に静かに佇む慶雲館の社長さんです。歴史ある趣深い旅館の舵取り役なのです。
 温泉客のニーズは時とともに変化するもの。そんな変化に敏感であることも大切です。月刊誌などを読んで、他の温泉旅館と連携を深めて、お客さんにアンケートをやってもらって、そんな新鮮な情報と向き合う。常にお客さんや温泉界の動向に対してアンテナを全開にしています。昨日も温泉旅館の経営者の集まりが東京であったようです。他の経営者も皆自分の仕事にこだわりを持っていて、とても刺激になるそうです。そんな徹底した姿勢はさすがです。
 自分に厳しい雄二さんは、従業員にも高いものを要求し、妥協はしません。「お客様のご満足を自分の満足に変える」これが慶雲館のサービス精神を物語っています。「この仕事が好きじゃないとやっていくことは無理」という言葉も。お話ししていても、その確固たる信念が有ることを感じ取れました。きっと座右の銘なんかがあるんじゃないかなと思っていた僕らは、聞いてみました。すると、「やろうと思ったことは、やる!」。行動力が求められる立場だけに、頼もしい言葉でありました。
 世の中は低価格競争が激化し、何でもかんでも安くないと客に見放されてしまう時代。しかし、ここ慶雲館は俗世から離れた別世界。「本当に良いものにはお金を惜しまない」。本当に良い旅館を維持するため日々努力を怠らないという決意の心が聞こえてきました。

  • ゆけよ、我が道

雄二さん

居住地 西山地区 温泉
取材日 2002/08/30
取材者名 小島 摂