早川の隠れ有名人

 大野さんは元バスの運転手さんです。昭和32年から平成2年まで県内の私営バス会社で働いていました。その間には大きな交通事情の変化があったようです。昔は飛行機や新幹線といった交通手段がなかったため、長距離の旅行もバスが主流。なんと山梨から九州や青森まで走っていたそうです。時には地元の学校の修学旅行で数日間生徒達とバスの中での共に過ごしました。また日常的には早川周辺と近県を結ぶ路線などを走っていました。そうです。大野さんは毎日バスで町民と顔を合わせることによって早川の隠れ有名人になっていったのです。
 バスの黄金時代は過ぎ去り、大野さんも会社を引退したわけですが、大野さんのすごいところはそれまでの仕事で学んだ経験、考え方をもとに毎日たくさんの町民のためのボランティアをやっているということです。そのボランティア活動は交通安全協会の仕事から近所の仕事のお手伝いまでさまざまです。民生委員も4期やっています。町の過疎化が進む中で高齢者も増え、行政も福祉センターには力を入れていて、大野さんはその中でお年寄りが安心して暮らせるようにと積極的な活動を続けています。
 大野さんのモットーは「相手の立場に立ってものを考えて物を言う」こと。そんなやさしくて人なつっこくて思いやりのある大野さんのボランティアは、町民の人に暮らしていく上で大切な安心感を与えると思いました。
 今や大野さんはただの隠れ有名人ではなく、町民の生活を陰で支えるとっても重要な人物です。

  • 早川の隠れ有名人

大野さん

居住地 硯島地区 大島
取材日 2002/03/01
取材者名 畑山 貴宏