多趣味で多忙なおぼこ職人

 薬袋の日本上流文化圏研究所の遊び部会にも参加している作一さんは、とても多趣味。また、風鈴がいくつも良い音を奏でる風流なお宅に住んでいます。
 現在は、釣りに山菜取りにと忙しく春から秋の天気のよい日には、ほとんど外に出ていてあまり家にはいないそうです。
 まだ作一さんが小さくダムもできる前、作一さんのお宅では旅館をやっていました。登山客や釣り人、富山の薬売りまで泊めていて、作一さんが釣りをするようになったのも、そのお客さんたちから道具をもらったりしたのがきっかけです。現在でも釣りに行くときは、前日の晩に計画を立て、朝の3時くらいに家を出るのだそうです。
 ちなみに、釣り場は奈良田湖ではなく渓流釣り、毛ばりではなくえさ釣りがお好みだとか。また、現在では魚を釣るばかりでなく、自分たちの釣る魚を増やすための放流にも参加していて、ヤマメやマスを放流にいったりもしているそうです。車の入れないような渓流への放流の際には、自分たちで稚魚の入った重いバケツを持ち上げねばならないだけでなく、時間がたつと稚魚が弱ってしまうため、目的地に到達する前に放流せざるを得ないこともあるのだそうです。
 そうして獲った魚は、自分で食べるばかりでなく、冷凍しておいて盆などにお孫さんたちが帰ってきたときに振舞うのだそうです。そのために冷蔵庫は3つも持っているのですよ。
 冬や雨で外に出られないときは、おもちゃ作り。
 うぐいす笛、おぼこ人形やわらじ、わらぞうりを作っています。おぼこ人形というのは生まれた女の子が最初の小正月を迎えるときに桐の木で作る女の人の人形で奈良田の里で販売もしています。わらじやわらぞうりは、昭和57年の台風で集落が孤立してしまったときに暇つぶしに作り方を教わったのがきっかけだったとか。
 作一さんは現在では奈良田の昔を伝える貴重な生き証人のうちの一人になっています。

  • 多趣味で多忙なおぼこ職人

作一さん

居住地 西山地区 奈良田