賑やかな山の上

 恒雄さんは笹走のご出身で昭和37年に横浜へ出た後、一昨年ご夫婦で戻ってきました。向こうでは自称「三日坊主」のために色々とあったようですが、「運良く」続いたというバスの運転手のお仕事を神奈川中央交通で長いことやっていたそうです。そのせいか現在も角瀬タクシーやスクールバス、給食の配達などで忙しいと話してくれました。ただ伺った日は日曜日。僕達の目の前にいたのはお孫さんからもらったおじいちゃんの絵で隣にお酒を描かれるような恒雄さんでした。
 戻ってくることになってお家の改装を施したそうですが、いくつか大事に残した物があります。1つ目は格子戸で、間隔が細かく今も歪みひとつないきれいなものです。2つ目は桜の枝を使った飾り戸。これは山から取ってきた桜の枝を戸にはめ込んだ物で、 枝の形に合わせた小窓があしらわれています。特に飾り戸の方は立体的な造形と桜を用いるという粋さに感動しました。ちなみにどちらも恒雄さんのお父さんが作った物だそうです。
 恒雄さんが小さい頃は家で養蚕をやっていたそうです。そのためお家の二階から上は土壁に土屋根、更に合掌造りの屋根がかかっていたとか。屋根裏の和二階に隠れて家の手伝いをさぼったりしたそうです。伺うのがもう少し前なら完全な形で見ることができたと聞いて残念でしたが、家の周りを歩くと当時を思わせるものがあって想像をかき立てられました。
 お宅で奥さんの手料理にビールをいただきながらの楽しい取材になりました。山梨日日新聞よりもよく書けているという評価をいただけるかだけが心配です。書けない話が多すぎたと言い訳しておきます。

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恒雄さん

居住地 五箇地区 笹走
取材日 2002/02/24