好奇心の夫婦

 文男さんは早川で生まれ育った62歳のダンディなおじいちゃんです。おじいちゃんといっても背が高く、見た目はもっと若く見えるので、おじさんと言った方がいいかもしれません。一昨年まで町長さんの車の運転手をやっていたのですが、現在は退職し、様々な趣味に没頭しています。クレー射撃や裏山を猟に歩くことをはじめ、日曜大工、パソコンなどなど。なかでも日曜大工はもはや趣味の領域を越えています。釘をいっさい使っていないということからも妥協を許さない姿勢がうかがえます。どこかの高級な家具屋で買ったといわれても納得できるくらいの完成度の高さで、それらが家の中の至る所に置いてあります。例えばテーブル、TVの台、オーディオラック、引き出し付きの整理棚などなど、ありとあらゆる物が日曜大工で作られていました。町長の運転手をされていた頃、仕事の合間に工房をまわって、作り方を勉強されたそうです。そして地元の木を頂戴し、それを材料にしています。
 日曜大工の作品に驚かされていたのですが、そのほかにも、留守になった家の田畑を借りて、米、大根、白菜、ほうれん草、ブロッコリー、オクラなどをつくり、自給自足の生活をしています。さらにさらに、文男さんの家の離れの2階には、隠し部屋があります。その中に一歩足を踏み入れてびっくり、本格的なカウンター付きのカラオケバーとなっておりました。これもまたご本人の趣味で作られたそうです。
 趣味の多さとその完成度の高さに驚かされるばかりではありますが、そんな文男さんにとっての早川の魅力は自然だそうです。確かにその趣味は自然とは切っても切り離せないものがほとんどです。しかしそんな文男さんでも、町内に福祉施設を作ることを望んでいます。現在、そのような施設を必要とするお年寄りの方々は大抵町外にでていってしまうそうです。早川で生まれ、育った人にとっては、いくつになっても早川で暮らすことが一番の幸せである、と文男さんは確信しています。
 奥さんの節子さん。文男さんに負けず、バレーボールにコーラスと好奇心はとどまることを知らず、です。節子さんの参加するシニアバレーは、増穂町、鰍沢町、中富町との連合チームで県の大会に参加するもの。早川町では3人が参加なさっているそうです。コーラスも総勢80人というスケールの大きさ。身延町、南部町、富沢町との合同です。身延山のイベントでは、いつも節子さん達の歌声が聞けるそうです。「こっちにいても何とか楽しいよ。」といいつつも、「まだまだやり足りない。」とおっしゃっていました。ホントにとどまることを知らず、です。
 スケールが大きいといえば、節子さんは日本食生活協会主催の山梨代表として、つい二日前まで千葉に研修に行ってらしたそうです。全国から79名が集まりました。二日間は講義と運動の繰り返しでとっても大変だったそうです。お疲れのところありがとうございます。でもこの運動の運命は節子さんの双肩にかかっています。頑張って広めて下さいね。
 文男さんお手製のカラオケバーに伺いました。とてもすてきなところなのですが、それだけじゃない。お二人の仲の良さが、もっとすてきな空間にしているんです。冗談も言えばほめたりもする。お二人とも気が利くし、言いまわしも茶目っ気がみえかくれ。今度来たときもそれからも、また誘って下さいね。

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文男さん

居住地 五箇地区 千須和
取材日 2001/02/26