俺の味噌を食えし!

 進一さんは下湯島に暮らす27歳の若き星。甲府の高校を出た後、清水の大学で海洋科学を学び、アオコの仲間であるシアノバクテリアの体構造の研究に携わっていました。
 大学を卒業後、ご両親の身体の具合が悪かったこともあって早川町に戻り、今は町の財団(南アルプスふるさと活性化財団)に勤務しています。入って3年は、奈良田にある財団の温泉施設「奈良田の里」で働いていましたが、今年からは「白鳳みそ」の味噌蔵で味噌作りに励んでいます。本来、生き物である味噌は刻一刻と風味が変化するため、商品として一定の味を出すために添加物を使用するのですが、財団の作る味噌は無添加なので風味の調整が難しく、それを乗り越えてさらに美味しい味噌を作るのが、今後の課題だそうです。味噌は一年寝かせてから出荷されるので、進一さんが仕込んだ味噌が商品として出されるのは来年のことですが、そのやる気を見ると、出来上がりが今から楽しみです。
 また進一さんは味噌を含めた財団商品について、これからもっと営業に力を入れようと試みています。それは財団の施設だけではなく、もっと広く民間の企業、特に企業として経営が成功している旅館などに品物を置いてもらえるようにならなければ、本当の意味での早川町の特産物にはなれないのではないか、という考えから来ているようですが、その常に前進しようという姿勢が素敵です。
 将来、クリーンベンチ(紫外線ライトが付いた無菌箱)を買って山野草、特に蘭を栽培するのが夢だという進一さん。まずは、美味しい味噌の成育に期待、ですね。

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進一さん

居住地 西山地区 下湯島
取材日 2002/08/28
取材者名 小宮 一穂