今も頼られ慕われる小学校の元先生ご夫婦

 重忠さんは早川町内の小学校の先生を43年間勤められたお方。現在でも遠く離れた教え子からは季節のお便りが届いたり、たまに訪ねてくる人があれば、それはにぎやかな酒盛りになるといいます。結婚式に呼ばれたり、子供が生まれれば名付け親になったりと、教え子達の親代わりのように頼れられ慕われる存在です。さすが先生をされていただけあって、分かりやすく優しい話し方をされ、こちらの話も目を見つめてじっくり聞いて下さいました。病気をされてからは家でのんびりと過ごすことが多く、むかし買いためた本を読んだり、庭いじりをしたりして過ごされているそうです。
 特に楽しみと言えば、月に1度、お孫さんの所へ出かけていって、床屋に連れていき、買い物を楽しみ、夕食を食べて戻ってくることだそうです。お孫さんの成長が生き甲斐と言い切るほど、お孫さんをかわいがっていらっしゃる心優しいおじいちゃんです。下湯島の集落でも人々の流失が進み、現在、子どもはひとりもいません。昔は下湯島にも子どもが多く、親は仕事で忙しいから、自分達で遊びを考え、山や川、集落のあちこちで元気に遊ぶ姿が見られたそうです。そういった面では、やはり寂しくなったといい『今の子ども達はもっと自然の中で遊び、学ぶ必要がある。』と教育の面からも語られていました。
 奥様のカツ子さんは下湯島では若手ということで、ハキハキと軽快にしゃべられる明るいお方。お二人とも『早川の日常生活には不便はないが、教育と医療の面では課題がある。』と言われました。これは、長年教育に携わった重忠さんの経験から、また、重忠さんの看病をしたカツ子さんの実体験から語られる実感のこもった言葉だと感じました。カツ子さんは現在、仲間とのウォーキングを日課にしておられ『わざわざウォーキングをして体力を付けましょうだなんて、いい時代になったものです。でも移りゆく季節を自然の中で感じながら仲間と楽しく歩くことが、健康には一番ですね。』そう明るい笑顔でした。

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重忠さん カツ子さん

居住地 西山地区 下湯島
取材日 2002/08/27
取材者名 荻原 美香