接客の秘訣

 美佐保さんは最近まで慶雲館の客室で働き、今も臨時で呼ばれることのある仲居さんです。ひかえめだけどきびきびとした言葉づかいには、長い間お客さんと接してきたことがよく表れています。そんな美佐保さんに接客の秘訣を尋ねると、「わざわざ来てくれるお客様に喜んで帰ってもらいたい、という気持ちではないでしょうか」と教えて下さいました。
 美佐保さんは小さい頃、よく重労働の焼畑を手伝って大変な苦労をしたそうです。父親が体が弱かったために、かわりに苦労した母親に今とても共感を覚えると言います。また、とても負けず嫌いの子供だったそうで、親戚と一緒にフキを採りに行ったときには、大人と同じくらいのフキを集めてしまって、背負子が担げないほどだったそうです。そんな芯の強いところが、今の接客に対する思い入れにもつながっているのかもしれません。
 美佐保さんが勧める慶雲館の楽しみどころは、ロケーション、温泉、料理だそうです。またそれだけでなく、かつて湯治場だった慶雲館のお湯は、胃腸にとても良いということです。甲府で働いている美佐保さんのご主人が、同僚が胃の病気になったとき、慶雲館のお湯を汲んでいってお茶代わりに飲ませたところ、すぐに調子が良くなり体も太ったそうです。ストレスで胃腸を痛めた多くの都会人たちに、ぜひすすめたいものです。
 また美佐保さんには、ときおり訪ねてくるお孫さんもいらっしゃいます。写真はお孫さんに歌ってほしいと買ったカラオケです。礼儀正しく、少し恥ずかしがり屋な美佐保さんは、名前通りの素敵な人でした。

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美佐保さん

居住地 西山地区 下湯島
取材日 2002/08/26
取材者名 相地 稔