夢のような暮らし

 いわさんは、48年前に結婚して茂倉から下湯島に来ました。「食べることが何より大事」と畑仕事や草刈りに大忙しだった茂倉の生活に比べ、下湯島の朝仕事の無い生活は「こんなに楽をしていいのかしら?」と思うほどでした。「その分、子育てに専念できた」と語るいわさんは、子育てが一段落してからも、スコップ片手に道路整備といった土方仕事に従事した働き者。若い頃も、茂倉で栽培した木綿をいっぱい担いで十谷峠を越えて鰍沢との間を行き来したそうで、帰りは行きの3倍にもふくらんだわたを担いで峠を登ったそうです。
 こうした大変な時代を過ごしてきたいわさんにとって、現在のものが豊富にある生活は、まるでお大名暮らしをしているようで「まさに夢のようさ」と昔を思い出しながら語ってくれました。
 そんないわさんの楽しみは、お孫さんのお守りを広場でしていたことをきっかけに始めたゲートボールで、現在ではチーム最年少ながら10年の経験を持つベテランに。また、所属する下湯島のゲートボールチームはお盆・お正月を除いて毎日4試合必ず行うほど練習熱心で、その実力は周辺地域でもピカイチ。現在、地区大会、南巨摩の大会を勝ち抜いて、9月にある県大会への進出を決めたそうです。チーム内でも数少ない夫婦揃ってのゲートボール参加でもあり、練習のある午後からは夫婦仲良くゲームを楽しんでいます。
 地域内の交流が多い下湯島が大好きだと語るいわさんの今の生活は、本当に夢のようで素敵なものでした。

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いわさん

居住地 西山地区 下湯島
取材日 2002/08/26
取材者名 猪俣 善貴