春木屋別館

 春男さんは旅館「春木屋別館」のご主人である。

 旅館のお客さんのほとんどは、日蓮宗の信者山である七面山に登りに来る信仰者。繰り返し来てくれるお得意さんも多い。取材中にも、登山用の靴の滑り止めを買いに来た馴染みのお客さんと、春男さんは仲良くお話をしていた。聞けばこのお客さん、お隣の静岡県は富士市から毎月のように来ているという。

 旅館の宿泊客のピークはゴールデンウィークと7,8月。最近は不景気の影響があってか、お客さんも減少気味だそう。しかしさすがに日蓮宗の信者山だけある。ときには1回に300人から800人(!)の信仰者の団体が登山に来ることもある。そのときは周りの旅館と協力してお客さんを受け入れる。
 ちなみに春木屋別館は個室に50名まで、団体では7,80名まで宿泊が可能である。

 旅館の歴史を振り返れば、宿泊業が本格化したのは昭和40年頃から。別館ができたのは昭和52年だそうである。春男さんのお母さんは、それ以前から茶店と食堂を兼ねた宿泊所を切り盛りしてきた。そのほかにも生活のためには山仕事など何でもこなしてきたという。
「昔のお母さんの苦労のおかげで今があるんだ」
 と、最後に春男さんは印象的な言葉を残した。

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春男さん

居住地 本建地区 新道
取材日 2002/12/14
取材者名 畑山 貴宏