夫婦でお子守り

 長久さんと数枝さんは、こたつにあたってテレビを見ている最中でした。
 長久さんは、鰍沢町十谷の出身です。お兄さんと、炭焼きをしていました。炭焼きを続けられるだけの山を買い、保のヨトメという所に炭焼き窯を持っていました。百俵窯が1つと、五十俵窯が2つあったそうです。炭が焼けるのに1週間。ということは、1週間に200俵分もの木を伐ったということなのです!ものすごい作業量ですよねぇ。それを二人で??と思ったのですが、さすがに、木を伐るのは人を頼んで作業したそうです。
 10年くらい炭焼きをした後、ご夫婦で土建の仕事をするようになりました。数枝さんは、3歳の子をおんぶして出勤することもあったそうです。とにかくご苦労されたよう。炭焼きをしていた頃は、子ども2人をおぶって、お弁当やおむつも持って山に行き、作業をしたとか。「あんな苦労、今の人はウソだと思うからねー。」確かに、とうていまねできそうもありません。
 今は畑を少し作っています。子どもさんは自分たちと一緒に暮らそうというけれど、子どもには子どもの生活があるので、こっちで畑を一作でも二作でも作って暮らした方がいいと思っています。畑に行くのには、一輪車を押すのは大変なので、子どもさんが買ってくれたベビーカーを押していくそうです。3月になったら農作業が始まります。「へーそろそろ動きださんと。」ジャガイモを作ったり、菜っぱを作ったり、ネギを植えたり。でも、猿やイノシシが出て、できたものを取っていってしまいます。取られる方が多く、食べる分くらいは残るのだとか。「猿とイノシシの餌づくりだよ。」数枝さんは笑います。
 二人そろってうちで過ごしているのが一番、と言う数枝さん。長久さんの前には、アメやお菓子などが出されています。長久さんのたばこを何とかやめさせようという作戦で、何かつまむものを口にしていればたばこを吸わないだろう、ということなのですが・・・。「効果はどうですか?」「だめだねー、この人は、アメをなめながら、たばこを吸っているよ。」お二人の様子を聞いていると、ほのぼのしてきます。
 お二人の日々は、デイケアサービスに行ったり、畑をちょっとやったり、子どもさんの所へ行ったり。「あとはお子守だよ。」え?お子守?お孫さんか誰かの・・・?「こうして二人でこたつのお子守りだよ。こたつは子守ってやらんとだめだからねー。」なんとも、数枝さんのユーモアはすごい!また、ほかのお話の中で「運命」「宿命」といった意味を、「生まれ約束だ」と表現したのが、とても印象的でした。
 数枝さんも、デイケアサービスで長寿苑に貼りだしてある2000人のホームページをご覧になったことがあるそうです。「そういえば、白石や西之宮は貼ってなかったね。」だから今、取材をしています。そのうち長寿苑に長久さんと数枝さんのページも張り出されますよ!

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長久さん

居住地 都川地区 白石
取材日 2002/02/24
取材者名 柴田 彩子