自由を感じる時

 角瀬の石屋さんで働く賀子夫さんは赤沢生まれの47歳。自然が大好きで、釣りやキノコ採りを楽しんでいる。特にキノコは趣味というよりはライフワークだと言う。
 きっかけは35歳頃までやっていた狩猟。20歳からやっていたのだが、皆、獲物を捕ることだけに夢中になりすぎているような気がしてきて、何だか違うな、と感じるようになったとか。

 ――そんな時ふと足元を見るとキノコが生えていたんだ。それからだね、キノコに夢中になったのは。
 始めはキノコを採ってきて図鑑とにらめっこ。キノコの図鑑を片っ端から買ってきて、いったい何冊買ったことやら、勉強するにつれて未知のキノコの多さに悩む。だから、とてもじゃないが、簡単に食べるわけにはいかない。
 自分だけで判断する時は、2~3年は観察してからでないと食べないね。なかには先に食べてしまってから心配になって俺んとこに見せに来たり、電話であれこれ聞いてくる人もいるが、とんでもない。毎年のように新しいキノコが登場して、図鑑も内容を変えているんだから。
 俺は小心者の恐がりだけど、そのぐらいがちょうどいいと思っている。
 今は採ることよりも、写真を撮ることの方が面白い。以前はカメラを持って山ん中でゴソゴソしていて変人扱いされたこともあったな。写真もずいぶんたまってきたから面白い。キノコの地図も面白い。だけどこれは秘密だな。
 せっかく?山の近くに居るんだから、みんなもっと山遊びや川遊びをすればいいと思う。自然の中で遊んでいるとなぜか自由を感じることが出来るんだ。
 本当に楽しいと思えることを自分で見つけることは、すごく大事なことなんだと思う。
 これからは田舎の時代だよ。
 春は山菜、夏は釣り、秋はキノコと忙しい。
 仕事はその為の手段でしかないんだな。

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賀子夫さん

居住地 本建地区 角瀬
取材日 2002/12/17