親から子へ

 妙恵(みょうけい)さんは、七面山に登る日蓮宗の信者が利用する、旅館「岩田屋」の女主人。34歳の頃に身延山で修行して妙恵という名前をいただいている。取材ではお父さんの教えについてお話してくれた。

 妙恵さんのお父さんは、おじいちゃんの跡を継いで材木屋をやりながら、旅館を経営してきた。毎日忙しく働いていたが、子どもたちにはよく接してくれたのであった。
 お父さんは旅館の仕事をよく妙恵さんに手伝わせた。その扱いはいつも旅館のお手伝いさんと平等。厳しかったが、その分仕事というものが良くわかったという。一方ではビー玉や缶蹴りなど、子どもたちの遊び相手もしてくれた。
 お父さんは、日々の生活の中で仕事の厳しさも遊びの楽しさも両方教えてくれたのである。

 妙恵さんは高卒後、静岡の大学に行くために家を離れ、その後も東京に就職して結婚もした。そんなときもお父さんは、何をするにも最終的な決断を本人に任せてくれた。

 妙恵さんは、自分の子どもにもそんな教育をしてきた。今でも、若い頃に覚えた遊びを自分の子どもと一緒に楽しんでいるという。

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妙恵(みょうけい)さん

居住地 本建地区 角瀬
取材日 2002/12/16
取材者名 畑山 貴宏