男子たるもの頭でありたい

 望月さんは、角瀬タクシーの社長さんです。利用者が決して多いとは言えない状況の中、「食うためにがんばっている」と語ります。
 子ども時代は当然テレビもなく、ラジオも集落で裕福な1、2軒にあるだけでした。そういうわけで、遊びといえば、もっぱら川での魚捕りや木登りぐらいのものだったとか。
 望月さんは昔、山梨交通でバスの運転手をしていました。所属していた身延営業所には当時、車掌から何からあわせると、300人もの従業員がいたそうです。望月さんは、身延駅と奈良田を結ぶ路線の担当でした。道は橋以外未舗装で、片道3時間もかかる長旅でしたが、当時の奈良田線は、ドアが閉まらないほど利用客の多いドル箱路線で、1時間に1本はバスがあったそうです。
 しかし、「定年まで運転手でいるのは情けない」と思い、今の商売を始めました。「今思うと、七転八起の人生だったが、そんな中でも自分は自分なりの目的を達したと思う」そうおっしゃる望月さんでした。

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望月さん

居住地 本建地区 角瀬
取材日 2002/12/11
取材者名 柴田 彩子