魅力的な人とは

　美人コンテストで優勝する条件は決して顔やスタイルだけではない。性格が良くないとやっぱり人間は魅力的ではないのである。淑子さんも、そんな美貌と性格を兼ね備えた６２歳！である（全然そんな歳には見えない）。

　現在、淑子さんは角瀬にある自分の娘さんとお姉さんが経営する食堂「やませみ」と２軒の旅館で働いている。夏場の忙しいときには朝４，５時から働き始め、２軒の旅館で順番に仕事をした後、「やませみ」で夜１１時頃まで働く。家に帰ってもまず台所や掃除、洗濯などの仕事をしてしまう。睡眠時間が少なくなっても働くことが癖になっているのだ。「それが不思議なことに幸せに思うんだよね。」と淑子さんが言った。「んー。それって身内の娘や兄弟に囲まれて仕事ができると安心するからなのかなあ。やっぱり働く環境ってすごく重要だなあ。」と筆者は思った。
　ちなみに淑子さん、更年期は知らないらしい（笑）。

　美貌の持ち主である淑子さんは、高校を卒業後、デパートの化粧品店でモデルをやっていた。早川に帰ってきてからも旅館の客からテレビのＣＭの出演を依頼されたり、東京で化粧品店のモデルの仕事をやらないかという誘いを受けたが、全部断ってきた。理由は親の面倒を見るためと、結婚して子どもが生まれていたこと。しかしこんな田舎でも遠くから来た人が自分を評価してくれるし、旅館の仕事は日本全国からたくさんの人が来てくれるのでやりがいがあった。淑子さんはテレビのＣＭに出演して有名になれるチャンスを捨ててしまっても、とても満足しているという。

　淑子さんの話は一見若い頃の自慢のように聞こえるが決して嫌みではなかった。それも淑子さんが家族を大切にする働き者だということがわかったからだと思う。
　魅力的な人とはどんな人かということを再認識させてくれた取材だった。