香茶、絹芋、巧小梅。

 7人の子供さんをお持ちのけいさん。ご自身も8人兄弟と、いつも大勢の家族と暮らしてきました。現在、保には、けいさんの長姉がお住まいですが、兄妹には女性が多いため、それぞれ嫁がれて離れた所にお住まいだということです。けいさんは、息子さんと2人で、このお宅に住まわれています。以前、息子さんは、左官業につかれていたとのことで、家の修理や、お風呂場の修理をして下さるそうです。
 身体は健康で、病気もあまりしません。若い頃から沢山の子供さんのために、あわや蕎麦、野菜を作ってきました。馬も、2頭飼っていらしたそうです。畑仕事の他にも、食料や生活雑貨を買いに、馬に乗って行ったこともありました。今も、かぼちゃ、さつま芋、じゃが芋など、色々お作りになっています。特に、じゃが芋は、北海道から種芋を買いますが、ここ黒桂でその種芋から採れたじゃが芋は、北海道産のじゃが芋よりも美味しく仕上がるそうです。昼夜の寒暖差が大きいことも関係するのでしょう。でも、一番の要因は、けいさんの手間と愛情のかけ方なのかもしれませんね。
 じゃが芋の収穫には、娘さんがお手伝いにやってきます。そして、たくさん持ち帰っては、コロッケにしてけいさんに持ってきてくれます。お孫さんも、市販のコロッケでは嫌がり、けいさんのじゃが芋で作ったコロッケしか食べません。お彼岸のころ、けいさんが、植えた10キロのじゃが芋は、何倍にもなって食卓を潤していきます。
 けいさんが摘んだお茶、けいさんが作ったじゃが芋に、小梅のお漬物。取材に便乗して、たくさん食べてしまいました。普段食べる物の他に、お正月には、息子さんが、4時に起きてお餅をつくそうです。豆餅も、このお餅から作ります。玄関には、うすときねが置いてありました。おっと、夜には、ここにダンクが加わります。ダンクは、やさしい男の子の犬。この日も、気持ちよさそうにお外でお昼寝をしていました。
 子供さんたちは、けいさんが作った煮物が一番美味しいと言います。「大きいお鍋で、煮るからよ。」と、けいさん。手間暇かけて、愛情を混ぜ込んだお料理は、今日も子供さんたちの食卓を彩っています。

  • 香茶、絹芋、巧小梅。

けいさん

居住地 都川地区 黒桂
取材日 2002/02/25
取材者名 奥津 直子