早川町の自然と人が好きだから
「若い頃は、町の外に出たかった」
勝さんは早川町役場の職員。高校卒業と同時に町を離れることを考えていた。
「両親が年老いていて、2人だけを残しておくには不安だから」
両親や町を離れていた兄弟と話し合い、町に残って役場に就職した。
勝さんは、早川町が嫌いなわけではなかった。早川町には楽しい思い出がたくさんある。ただ、都会に憧れていただけだった。
兄弟4人の末っ子として生まれた勝さん。年が離れた兄弟なので、あまり一緒には遊ばなかったという。近所の家の子たちと一緒によく遊んだ。学校が終わるとすぐに遊びに行くような子供だった。隠れんぼ、缶蹴り、川遊びをよくした。同級の男の子がいなかったので、女の子ともよく遊んだという。だが、中学生ぐらいになると恥ずかしくなって遊ばなくなった。
現在、役場から財団の仕事に移って3年目になる。ハム、味噌などを作る財団の仕事は、自分で知恵を絞ることが多いからやりがいがあるという。これからは勝さんは施設の見直しを考え、赤字のものを黒字に持っていきたいという。勝さんは、今、仕事も充実しているが、趣味も充実しているようだ。町や都川の野球チームに属していて、最近ではオフロードに興味を持っているという。また、集落では勝さんは若手で、祭りの手伝いも行っている。正月三が日、春祭り、秋祭りも忙しく働いている。
勝さんの娘さんは、今、勝さんの若い時と同様に町を離れることを考えているという。それに対して、勝さんは好きなようにしてもらいたいと考えている。勝さんに「町から離れたい思いは、まだあるのですか」と尋ねると、「30歳ぐらいになってから外に出たいという思いはなくなった。早川町は、都会みたいに慌ただしくなく、のんびり暮らせる。早川町の自然と人々が好きだから。でも、花粉は嫌だね。うまくつきあってゆくしかないでしょう」と、今年から花粉症に悩まされている勝さんは笑いながら答えてくれた。
勝さん
居住地 | 都川地区 黒桂 |
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取材日 | 2002/03/06 |
取材者名 | 福西 大輔 |