料理が得意なキャンプ場の管理人

 中華料理屋でバイトの経験があって、エビチリ、チャーハンを作るのが得意な独身。最近はコロッケ作りに凝った。キャンプ場の管理人、寿幸さんのもう一つの姿。
 甲府から2000年に早川町のオートキャンプ場の管理人としてやってきた。寿幸さんは、それ以前、電気屋で働いていた。配達などで、早川町には足を運んだことはあった。寿幸さんの高校時代からの友達に釣り好きの人がいて、そのつき合いでアウトドアをしていた経験が、この道へ入る後押しとなった。初めのうちは、見知らぬ土地に1人で来るのが不安だったが、住んでみたら、地元の人々は気さくな人ばかりで安心したという。
 キャンプ場には、県外からも多くのお客さんがいらしている。東京、神奈川などの首都圏から岡山まで。様々なお客さんと関わる寿幸さんは、常に勉強しているという。お客さんのニーズに応えるために新しいことを勉強していく必要があるし、またそれが楽しいと語る。今は、流行のダッチオーブンを購入して研究しているところだとか。また、早川町の見所もお客さんに紹介している。夏の星空。秋の山々の紅葉。時には、対岸の山々の中でサルたちのボスの座争いが見られることもあるという。
 お客さんが多いと、様々な出来事にも遭遇する。ある日、キャンプ一日目の家族の子どもが、夜中に体調を崩して、急遽帰らなくてはならなくなった時があった。その時、寿幸さんは、テント等の撤収を手伝い、あまり楽しむ時間もなかったろうと、お土産も渡した。お客さんは、それを喜んでくれて、今では顔馴染みになった。かつて訪れてくれたお客さんが、自分のキャンプ場のことをインターネット上に書き込んでくれているのを見つけた時は、最もうれしく感じるという。また、得意の料理の腕を活かして、地元の人からもらった、なめこの大きく育ったものを茹でて、大根おろしをのせ、しょうゆをかけ、お客さんに振る舞ったら好評だったという。寿幸さんのこうした人情や温かさも、このキャンプ場に人を集めているようだ。
 寿幸さんは、キャンプを通して、子ども達が楽しめるように気を配っている。一日中親と一緒にいられる子ども達のうれしそうな笑顔は印象に残るという。このキャンプ場が、親子の交流の場になることをめざしているのだ。早川北小学校の親子キャンプも、寿幸さんのキャンプ場でおこなった。こうした機会は今後も増やしていきたいと思っている。
 寿幸さん自身は、現在、お嫁さんを募集中とか。料理ができる上に、弓道や車も好きで、見るからにたくましい。良き父となり、温かい家庭を築けることだろう。寿幸さんの笑顔が、そう思わせる。

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寿幸さん

居住地 都川地区 柳島
取材日 2002/03/07
取材者名 福西 大輔